米国アトランタにあるエモリー大学ゴイズエタビジネススクール(Emory University Goizueta Business School)の日本人在校生によるブログです。

当校のプログラムやアトランタでの生活について書いています。

2012年3月20日火曜日

GMSC

Class of 2013のタツです。

ゴイズエタのU.S. News MBA Rankingが、全米23位から19位に上がりました。嬉しいですね。校庭の桜は満開で、アトランタには春が訪れています。







さて今回は、私が2012年春学期でもっとも力を入れている授業、GMSC(Goizueta Marketing Strategy Consultancy)について書きたいと思います。



GMSCは、20年以上続いている当校の看板授業であり、春学期の1月~5月にかけて行われる選択制、実企業コンサルティングプログラムです。クライアント企業は実際にゴイズエタにお金を支払ってコンサルティングを依頼していますので、学生も教授も真剣そのもの。5月初旬の最終提案提出(100枚程度)と顧客企業向けプレゼンに向けて、6-7人構成のチームベースでプロジェクトを進めていきます。



実際、どのようなクライアントのどのような案件を担当するかについては、クライアントのニーズと、自身のチーム割り当てによって大きく異なります。例えば今年は、下記のような案件依頼がありました。



◆(情報通信大手)中国・インド・ロシア・韓国の4ヵ国のうち、どの国がもっとも魅力的なマーケットで、その国においてどのような戦略を打つべきか

◆(保険大手)米国内の未開拓法人マーケットに、どのような商品・サービスを、どのようにして提供するか

◆(食品大手)ブラジルに事業進出する際に、どの顧客層に対して、どの店舗を、どの場所に、どの価格帯で、どのようにオープンするか



過去のクライアント企業には、Coca-Cola、Delta航空、GEやIBMといった米国大企業のほか、SAPやFujitsuなどの外資系企業、Georgia-PacificやThe Southern Companyなどのジョージア州地元企業が名を連ねます。http://www.goizueta.emory.edu/gmsc/about_previous_clients.html



担当企業とチームが決まりますと、そこからがプロジェクト開始です。私のチーム(国内製造業大手)の例では、週1回の授業と週2回の教授/TAとのミーティング、週1回の顧客との電話ミーティング、そして週2回のチームミーティングをベースとして、毎週月曜日に課題を提出しています。こうしたインテンシブなプロジェクトですので、決して楽ではありません。各ミーティングへの事前準備としての個人ワークにも相当の時間をとられるため、他の科目とのタイム&スケジュール調整も求められます。



加えて、インターナショナルの学生には特有の問題も生じてきます。例えば、ネイティブ&インド人の議論がヒートアップすると、私は議論についていくことすら困難になります。スラングまじりのくだけた英語と、インドなまりの英語が自分の頭の上を飛び交うような状況です。英語でのコミュニケーション力を高めるにはいいと思いますが、無力感と焦燥感に耐えながら、気を張ってネイティブの英語にしがみ付く根性が求められます。



また、問題解決に対するアプローチ手法の違いも私を悩ませます。完成形をある程度決めてから動き出す日本型のトップダウンアプローチに執着していると、米国型のボトムアップアプローチにおいては「プロジェクトがゴールに向かって順調に進んでいる」と感じることができません。ストレスや苛立ちを感じることもしばしばです。



もちろん、こうした文化的側面でのストレスを感じることが、大きな学びにもなります。米国型のボトムアップアプローチは時間と労力こそかかりますが、自由な発想が生まれやすいことも事実です。私はこれまで、「自由な発想」は幼少時に受ける教育や生まれつきの才能、一種のひらめきに拠るものが大きいと思っていたのですが、新しいアイデアというのはむしろ、地道なデータに基づく分析と、議論の積み重ねから生まれるものだと考えるようになりました。



さらに、週末に自宅でミーティングをしたり、顧客調査を共に企画/実施したりする中で、チームメイトとの仲は大変深いものになります。今週末には、アトランタの日本風居酒屋「庄や」でのチームディナーを予定しており、これは今から楽しみにしています。文化の異なる人々とこれほどまでに多くの時間を学内外で共有できる授業は、恐らくGMSCをおいて他にはありません。





このようにGMSCでは、実践を通じてマーケティングやファイナンスなどの理解を深めると同時に、多国籍グループにおけるチームマネジメントを、実体験を通じて学ぶことができます。実は、GMSCは私がゴイズエタへの進学を決めた大きな理由の一つでもあります。どこのビジネススクールもそれなりの体験系授業は備えているのですが、GMSCほど実践度の高いプログラムが用意されている学校は少ないと思いました。



マーケティング、コンサル系のキャリアプランを考えている方、なんでもいいから挑戦したいという方、ゴイズエタ入学後はGMSCをぜひご検討ください。



私も、5月の最終プレゼンに向けてもうひとがんばりです!









タツ

Class of 2013